巻16−3786 雑歌  作者:不詳


  
項目 内容
原文 春去者 挿頭尓将為跡 我念之 桜花者 散去流香聞
訓読 春さらば かざしにせむと 我が思ひし 桜の花は 散りにけるかも
仮名 はるさらば かざしにせむと わがもひし さくらのはなは ちりにけるかも
参考
・その昔桜児という娘がいた。二人の壮士がいて供に桜児に求婚した。二人は命をかけて死を求めて争った。桜児は一人の女が二人の壮士に嫁ぐというのを聞いたことも見たことも無い。今は二人の壮士の心を静めることは難しい、と言って山に入り、首を括って死んでしまった。二人の壮士が嘆き悲しんで作る歌。


二口解釈
・私が春になったら簪にしようと思っていた桜の花は、もう散ってしまった。

・桜児や 簪に出来ず 散りにけり