巻16−3804  雑歌   作者: 不詳


  
項目 内容
原文 如是耳尓 有家流物乎 猪名川之 奥乎深目而 吾念有来
訓読 かくのみに ありけるものを 猪名川の 沖を深めて わが思へりける
仮名 かくのみに ありけるものを ゐながはの おきをふかめて わがもへりける 
参考

・昔男の人がいた。新たに婚礼をし、時を経ずに駅馬の使いとなって遠くに派遣された。公事には制限があり、妻に会う日はなかった。そして妻は嘆き悲しんで病の床に臥してしまった。年を重ねて男は戻った。そして妻を見ると、妻の容姿は疲れやつれて余りにも異なっていたので、言葉にならない。時に男は嘆き悲しんで涙を流し、歌を作って口ずさんだ。その歌。


二口解釈
・このようになっていようとは知らずに、猪名川の沖のように、心の奥に深く妻を思っていた


・我が胸に 深く思えど 妻やせり