万葉集一日一首
(2003年8月11〜9月30日)

その日の歌を掲載しています。
凡そ、歌番号の若い方から掲載しています。
歌をクリックすると解釈文を見ることが出来ます。



日付 一口解説
9月30日:  我が岡の おかみに言ひて 降らしめし 雪のくだけし そこに散りけむ どうせ、私の里の神が降らせた雪でしょう
9月29日:  わが里に 大雪降れり 大原の 古りにし里に 落らまくは後 私の里に大雪降った、古い里は未だだろう
9月28日:  秋さらば 今も見るごと 妻恋に 鹿なかむ山ぞ 高野原のうへ 秋が来ると鹿も妻を呼んで鳴く
9月27日:  海の底 奥つ白浪 立田山 何時か越えなむ 妹があたり見む 早く山を越えて妻を見たい
9月26日:  うらさぶる 情さまねし ひさかたの 天のしぐれの 流らふ見れば 時雨が降り続くと寂しさがます
9月25日:  山辺の 御井を見がてり 神風の 伊勢処女ども 相見つるかも 井戸を見に行たついでに女性も見た
9月24日:  青丹よし 寧楽の家には 万代に われも通はむ 忘ると思ふな 奈良の都は万代までも忘れない
9月23日:  飛ぶ鳥の 明日香の里を 置きていなば 君があたりは 見えずかもあらむ 君がいたあたりは見えなくなった
9月22日:  吾が大君 ものな思ほし 皇神の つぎて賜へる われ無けなくに 君よ歴代の天皇がついている、心配なく
9月21日:  ますらをの 鞆の音すなり もののふの 大まへつぎみ 楯立つらしも 男達が武術の訓練をしている
9月20日:  み吉野の 山の嵐の 寒けくに はたや今夜も 我が独り寝む 風は寒いのに、今夜も1人寝か
9月19日:  見れど飽かぬ 吉野の川の 常滑の 絶ゆることなく またかへり見む いつも見たい吉野川、又帰りに見よう
9月18日:  倭には 鳴きてか来らむ 呼児鳥 象の中山 呼びぞ越ゆなる ホトトギスが鳴いて山を越えて行く
9月17日:  草枕 旅行く 君と知らませば 岸の埴生に にほはさましを 旅に行くなら、服を染めてあげたのに
9月16日:  あられ打つ あられ松原 住吉の 弟日娘と 見れど飽かぬかも あられが降る松原は見ても飽きない
9月15日:  葦べゆく 鴨の羽がひに 霜ふりて 寒き夕べは 倭し念ほゆ 霜が降りる寒い夜は、大和が偲ばれる
9月14日:  いざ子ども 早く日本へ 大伴の み津の浜松 待ち恋ひぬらむ さあ皆、浜松も待つ日本へ早く帰ろう
9月13日:  ますらをの 猟矢たばさみ 立ち向かい 射る円方は 見るに清けし 勇者が的を射る姿は、清々しい
9月12日:  ながらふる 妻吹く風の 寒き夜に 我が背の君は ひとりか寝らむ 風吹く寒い夜、愛しい君はどうしてる
9月11日:  いづくかに 船泊てすらむ 安礼の埼 漕ぎ廻みゆきし 棚無し小船 あの小船はどこに泊るのだろうか
9月10日:  引馬野に にほふ榛原 入り乱り 衣にほはせ 旅のしるしにく 榛の木の香りを旅の記念につけてくれ
9月 9日:  河のへの つらつら椿 つらつらに 見れども飽かず 巨勢の春野は 椿が重なって咲く様子は見て飽きない
9月 8日:  麻もよし 紀人ともしも 真土山 行く来と見らむ 紀人ともしも 紀州は麻が取れ、山も見れいい所だ
9月 7日:  巨勢山の つらつら椿 つらつらに 見つつ思うな 巨勢の 春野を 椿が重なって咲く様子を思い出す
9月 6日:  采女の 袖吹きかへす 明日香風 都を遠み いたづらに吹く 都が去った明日香に吹く風はさみしい
9月 5日:  日なみしの 皇子の命の 馬並めて み狩立たしし 時は来向かふ 皇子が生前狩をした日になった
9月 4日:  東の 野にかげろひの 立つ見えて かへりみすれば 月かたぶきぬ 東には朝のかげろう、西は月が沈む
9月 3日:  阿騎の野に 宿る旅人 うちなびき いもぬらめやも 古へ念ふに 昔を思出だして、眠りつけない
9月 2日:  山川も 依りて仕ふる 神ながら たぎつ河内に 舟出せすかも 山も川も寄って来て仕える
9月 1日:  ささなみの 志賀の大わだ 淀むとも 昔の人に またも逢はめやも 水は淀んでいるが、当時の人はいない
8月31日:  ささなみの 志賀の辛崎 幸くあれど 大宮人の 舟待ちかねつ 景色は同じだが、当時の人はいない
8月30日:  我が欲りし 野島は見せつ 底深き 阿胡根の浦の 玉ぞ拾はぬ 始めの目的は成就、次の目的へ
8月29日:  我が背子は 仮廬作らす 草なくは 小松が下の 草を刈らさね 茅が不足ならあの茅も使ってください
8月28日:  紀の国の 山越えて行け 吾が背子が い立たせりけむ 厳橿がもと 君が以前見た山を、私も見て懐かしい
8月27日:  山越しの 風を時じみ 寝る夜おちず 家なる妹を 懸けて偲ひつ 時ならぬ風に、家に残した妻を思う
8月26日:  三輪山を しかも隠すか 雲だにも 情あらなも 隠さふべしや 情けがあるなら三輪山を見せて欲しい
8月25日:  我が背子は いづく行くらむ 沖つ藻の 名張の山を 今日か越ゆらむ 夫は今どこ、名張の山あたりか?
8月24日:  たまきはる 宇智の大野に 馬なめて 朝ふますらむ その草深野 朝、草野を馬で走る夫の姿を想う
8月23日:  香具山と 耳梨山と あひし時 立ちて見に来し 印南国原 昔の人も女性をめぐって争った
8月22日:  君が代も 我が代も知るや 磐代の 岡の草根を いざ結びてな 草を結んで、二人の無事を祈ろう
8月21日:  潮さゐに いらごの島べ こぐ船に 妹乗るらむか 荒き島廻を 愛しい人も船に乗っているだろうか
8月20日:  鳴呼見の浦に 船乗りすらむ をとめらが 珠裳のすそに しほみつらむか 海で遊ぶ乙女の服の裾が濡れる
8月19日:  古の 人にわれあれや ささなみの 故き京を 見れば悲しき 古都を見て悲しいのは古い人?
8月18日:  春過ぎて 夏来るらし 白妙の 衣ほしたり 天の香具山 春が過ぎて夏が来たようだ
8月17日:  うつせみの 命を惜しみ 浪にぬれ 伊良虞の島の 玉藻刈りをす 流人でも人は誰もが命が惜しい
8月16日:  紫の にほへる妹を にくくあらば 人妻ゆゑにわれ恋ひめやも 人妻が憎くければ恋はしない?
8月15日:  河上の 湯津磐村に 草むさず 常にもがもな 常処女にて いつまでも乙女でいたい、女心
8月14日:  わたつみの 豊旗雲に 入日さし こよいの月夜 すみあかくこそ 陽が射している、今夜は明月だろう
8月13日:  熟田津に 船乗りせむと 月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎいでな 月も明月、さあ出かけよう
8月12日:  秋の野の み草刈ふき やどれりし 兎道のみやこの 仮いほし思ほゆ 茅葺きの家が今も懐かしい
8月11日:  秋さらば 今も見るごと 妻恋に 鹿なかむ山ぞ 高野原のうへ 秋になると鹿も妻が恋しくなる





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