(JAXA HPより)
万葉集一日一首
(2005年10月1日〜)

その日の歌を掲載しています。
凡そ、歌番号の若い方から掲載しています。
歌をクリックすると解釈文を見ることが出来ます。

(JAXA HPより)

日付 一口解釈
12月31日:  安積香山 影さへ見ゆる 山の井の 浅き心を 我が思はなくに 山の泉のように浅い心でいるのではない
12月30日:  事しあらば 小泊瀬山の 石城にも 隠らばともに な思ひ我が背 夫よ、一緒に隠れるから心配するな
12月29日:  ぬばたまの 黒髪濡れて 沫雪の 降るにや来ます ここだ恋ふれば 雪の中を黒髪濡らして夫が来た
12月28日:  かくのみに ありけるものを 猪名川の 沖を深めて わが思へりける 心に深く思ってたが妻は痩せてしまった
12月27日:  白髪し 子らに生ひなば かくのごと 若けむ子らに 罵らえかねめや 子どもたちも白髪になれば罵られる
12月26日:  死なばこそ 相見ずあらめ 生きてあらば 白髪児らに 生ひざらめやも 子どもも生きていれば白髪の老人になる
12月25日:  妹が名に 懸けたる桜 花咲かば 常にや恋ひむ いや毎年に 桜が咲けば、妹を思い出すだろう
12月24日:  春さらば かざしにせむと 我が思ひし 桜の花は 散りにけるかも 私が思っていた人は、散ってしまった
12月23日:  帰りける 人来れりと言ひしかば ほとほと死にき 君かと思ひて 帰った人が来たと聞き、うれしくて死ぬ思いだった
12月22日:  命あらば 逢ふこともあらむ 我が故に はだな思ひそ 命だに経ば 命さえあれば又何時か会える
12月21日:  あかねさす 昼は物思ひ ぬばたまの 夜はすがらに 哭のみし泣かゆ 日射しを受けて物を思っている
12月20日:  が行く 道のながてを 繰り畳ね 焼きほろぼさむ 天の火もがも 君が行く道を焼き尽くしてしまいたい
12月19日:  あしひきの 山路越えむと する君を 心に持ちて 安けくもなし 山道を越えようとする君を思うと不安だ
12月18日:  竹敷の うへかた山は 紅の 八入の色に なりにけるかも うへかた山は濃い紅色に染まっている
12月17日:  天離る 鄙にも月は 照れれども 妹そ遠くは 別れ来にける 妻とは遠く離れた所に来てしまった
12月16日:  百船の 泊つる対馬の 浅茅山 時雨の雨に もみたひにけり 時雨が降って山が紅葉に変わった
12月15日:  草枕 旅を苦しみ 恋ひ居れば 可也の山辺に さ雄鹿鳴くも 家を恋しく思っていたら鹿が鳴いた
12月14日:  風吹けば 沖つ白波 恐みと 能許の亭に 数多夜そ寝る 白波が恐く、何日も泊っている
12月13日:  韓亭 能許の浦波 立たぬ日は あれども家に 恋ひぬ日は無し 家に恋をしない日は無い
12月12日:  今よりは 秋づきぬらし あしひきの 山松かげに ひぐらし鳴きぬ ヒグラシ鳴いた、さあこれから秋だ
12月11日:  かしふ江に 鶴鳴き渡る 志賀の浦に 沖つ白波 立ちし来らしも 鶴が鳴いて飛んでいく、沖に白波が立っているようだ
12月10日:  志賀の浦に 漁する海人 家人の 待ち恋ふらむに 明かし釣る魚 待ち恋う人を置いて、釣る魚よ
12月9日:  志賀の海人の 一日もおちず 焼く塩の 辛き恋をも 我れはするかも 毎日焼く塩のように辛い恋私はするだろう
12月8日:  わたつみの 海に出でたる 飾磨川 絶えむ日にこそ 吾が恋止まめ 飾磨川がなくなれば恋も終わるだろうが
12月7日:  あをによし 奈良の都に たなびける 天の白雲 見れど飽かぬかも 奈良の都に棚引く白雲は見飽きることがない
12月6日:  葦の葉に 夕霧立ちて 鴨が音の 寒き夕し 汝をは偲はむ 葦の葉に霧が立ち、夕に鴨が鳴くと君を偲ばれる
12月5日:  防人に 立ちし朝明の 金門出に 手放れ惜しみ 泣きし子らはも 防人に出発する日の朝、別れを惜しみ泣いた妻よ
12月4日:  彼の児ろと 寝ずやなりなむ はだ薄 宇良野の山に 月片寄るも 夜が更けてもあの娘は来ない、もう寝れぬかも
12月3日:  悩ましけ 人妻かもよ 漕ぐ舟の 忘れはせなな いや思ひ増すに 人妻を忘れる事が出来ず悩ましく思いは増す
12月2日:  潮船の 置かれば悲し さ寝つれば 人言しげし 汝を何かも為む 君のことを置いておくのも、寝るのも難しい
12月1日:  多由比潟 潮満ちわたる 何処ゆかも 愛しき背ろが 我がり通はむ 潮が満ちて来た、夫は何処を通ってくるだろうか
11月30日:  青柳の 張らろ川門に 汝を待つと 清水は汲まず 立処ならすも 君を待って立っているところが平らになった
11月29日:  柵越しに 麦食む小馬の はつはつに 相見し子らし あやに愛しも 子馬が麦を食むようにちらっと見える子が妙に愛しい
11月28日:  妹をこそ あい見に来しか 眉引きの 横山辺ろの 鹿なす思へる 会いに来て鹿のようにつれなくされた
11月27日:  水鳥の 立たむよそひに 妹のらに 物言はず来にて 思ひかねつも 何も話さず旅に出て妹子への思いが募る
11月26日:  沼二つ 通は鳥が巣 吾が心 二行くなもと 勿よ思はりそね 二人の女性を思っていると思わないで欲しい
11月25日:  昨夜こそは 子ろとさ寝しか 雲の上ゆ 鳴き行く鶴の ま遠く思ほゆ 昨夜寝たばかりなのに随分間が空いたように思う
11月24日:  烏とふ 大軽率鳥の 真実にも 来まさぬ君を 児ろ来とそ鳴く   カラスという鳥が本当は来ない君を来ると鳴いている
11月23日:  汝が母に 嘖られ我は行く 青雲の いで来我妹子 相見て行かむ   君の母に怒られて私は帰るが君を一目見て帰りたい
11月22日:  吾が面の 忘れむ時は 国はふり 嶺に立つ雲を 見つつ偲はせ   私の顔を忘れたなら雲を見て偲んで欲しい
11月21日:  高き嶺に 雲の着くのす 我れさへに 君に着きなな 高嶺と思ひて   高い嶺に雲が着くように私も君に寄り着きたい
11月20日:  夕されば み山を去らぬ 布雲の 何ぜか絶えむと 言ひし児ろばも   二人の仲は絶えないと言った子はどうしているか
11月19日:  一嶺ろに 言はるものから 青嶺ろに いさよふ雲の 寄そり妻はも   一体と言いながらためらってよりそう夫にあきれる
11月18日:  青嶺ろに たなびく雲の いさよひに 物をぞ思ふ 年のこのころ   青い嶺に雲がためらうように物を思うこの頃だ
11月17日:  安斎可潟 潮干のゆたに 思へらば うけらが花の 色に出めやも   恋心がゆったりしていれば顔になど出ない
11月16日:  岡に寄せ わが刈る萱の さね萱の まこと柔ごやは 寝ろとへなかも   私が引き寄せて刈る柔らかな萱は寝ようと言わない
11月15日:  川上の 根白高萱 あやにあやに さ寝さ寝てこそ 言に出にしか   気が怪しくなって何度も寝たので噂になった
11月14日:  橘の古婆の 放髪が 思ふなむ 心愛し いで吾れは行かな   少女が私を思っている、心が可愛いので会いに行く
11月13日:  子持山 若かへるての 紅葉つまで 寝もと我は思ふ 汝は何どか思ふ   楓が紅葉になるまで寝ていたいが、汝はどう思う
11月12日:  麻苧らを 麻笥に多に 績まずとも 明日着せさめや いざせ小床に   明日は着ない麻をそんなに積まず、早く寝よう
11月11日:  あり衣の さゑさゑしづみ 家の妹に 物言はず来にて 思ひ苦しも   妻に黙って旅に出て来て心苦しい
11月10日:  東道の 手児の呼坂 越えて去なば 我れは恋ひむな 後は逢ぬとも   貴方が東道を越えて行ったら私は恋しく思うだろう
11月9日:  諾児なは 吾ぬに恋ふなも 立と月の 流なへ行けば 恋しかるなも   私に恋するのは当然、月が経てば私を恋しく思うかも
11月8日:  植竹の 本さへ響み 出でて去なば 何方向きてか 妹が嘆かむ   騒がしく旅に出れば何処を向き妹は嘆くだろうか
11月7日:  佐野山に 打つや斧音の 遠かども 寝もとか子ろが 面に見えつる   寝たいと思うからか遠く住む妻の顔が浮かぶ
11月6日:  夕占にも 今夜と告らろ 我が背なは 何そも今夜 寄しろ来まさぬ   占いに今夜夫が来ると出たのに何故来ない?
11月5日:  山鳥の 尾ろの初麻に 鏡懸け 唱ふべみこそ 汝に寄そりけめ  私が呪文するので汝を思っていると噂が立った
11月4日:  奥山の 真木の板戸を とどとして 我が開かむに 入り来て寝さね 板戸が鳴れば、私が戸を開けるので供に寝よう
11月3日:  ま遠くの 野にも逢はなむ 心なく 里の真中に 逢へる背なかも 遠い野で会いたかったが人の多い里で会った君だ
11月2日:  あしひきの 山沢人の 人多に まなと言ふ子が あやに愛しさ 人が皆可愛いと言うあの子は胸に染みて可愛い
11月1日:  誰れそこの 屋の戸押そぶる 新嘗に 我が背を遣りて 斎ふこの戸を 新嘗に夫を出しているこの家の戸を押す人は誰?
10月31日:  稲春けば 皹る我が手を 今宵もか 殿の若子が 取りて嘆かむ 稲をついてアカギレた私の手を取り若殿が今宵も嘆く
10月30日:  庭にたつ 麻布小衾 今夜だに 夫寄しこせね 麻布小衾 麻の蒲団よ、今夜こそ夫を通わせて欲しい
10月29日:  風の音の 遠き吾妹が 着せし衣 手本のくだり 紕ひ来にけり 遠い妻が着せてくれたこの服の袂がほつれてきた
10月28日:  おもしろき 野をばな焼きそ 古草に 新草まじり 生ひは生ふるがに 野を焼くな、古草に新草が混じって草が生えてくる
10月27日:  草蔭の 安努な行かむと 墾りし道 安努は行かずて 荒草立ちぬ 道を開墾したが、途中で止めて荒草が出てしまった
10月26日:  うらもなく わが行く道に 青柳の 張りて立てれば 物思ひ出つも 道を歩き、青柳の芽を見たら恋人を思い出した
10月25日:  この川に 朝菜洗ふ児 汝れも我れも 同輩児をそ持てる いで児賜りに この川で朝菜を洗う貴方よ、その子を私に下さい
10月24日:  鈴が音の 早馬駅家の 堤井の 水をたまへな 妹が直手よ 早馬の駅で泉の水を妹の手で直に頂きたい
10月23日:  都武賀野に 鈴が音聞こゆ 上志太の 殿の仲子し 鷹狩すらしも 鈴の音がする、若様が鷹狩しているようだ
10月22日:  薪樵る 鎌倉山の 木垂る木を まつと汝が言はば 恋ひつつやあらむ 私を待つと言えば、苦しい恋はしないだろう 
10月21日:  陸奥の 安達太良真弓 弾き置きて 反らしめきなば 弦着かめかも 真弓の弦を外し、又かけるのは容易でない
10月20日:  遠江 引佐細江の 澪標 我れを頼めて あさましものを 私を頼らせておいて実は軽い心だったか
10月19日:  下毛野 安蘇の川原よ 石踏まず 空ゆと来ぬよ 汝が心告れ 空を飛んで川を越えてきた心地だ、君の本心を言え
10月18日:  下毛野 三毳の山の 小楢のす ま麗し児ろは 誰が笥か持たむ 子楢のように美しい子は将来誰の妻になる?
10月17日:  上毛野 伊奈良の沼の 大藺草 よそに見しよは 今こそ勝され 会わないでいるより会った時こそ恋しさが募る
10月16日:  上毛野 伊香保の沼に 植ゑ小水葱 かく恋ひむとや 種求めけむ こんな辛い恋をするために恋を求めたのだろうか
10月15日:  伊香保ろの 八尺の堰塞に 立つ虹の 顕ろまでも さ寝をさ寝てば 堰に立つ虹のように、皆に見えるほど寝ていたい
10月14日:  伊香保ろの 沿ひの榛原 ねもころに 将来をな兼ねそ 今がよければ将来をコマゴマ心配するな
10月13日:  上野の 安蘇のま麻群 かき抱き 寝れど飽かぬを 何どか吾がせむ 抱いて寝ても未だ足りない、私はどうしたらよいか
10月12日:  我が恋は 現在も悲し 草枕 多胡の入野の 将来も悲しも 私の恋は今も将来も多胡の入野の如く深く切ない
10月11日:  日の暮れに 碓氷の山を 越ゆる日は 背なのが袖も さやに振らしつ 碓氷峠で夫の振る袖がはっきりと見えた
10月10日:  信濃なる 千曲の川の 細石も 君し踏みてば 玉と拾はむ 千曲川の小石も貴方が踏めば宝石として拾おう
10月9日:  信濃道は 今の墾り道 刈株に 足踏ましなむ 履はけ我が背 信濃路は作りたての路、靴を履いて通れ我が夫よ
10月8日:  人皆の 言は絶ゆとも 埴科の 石井の手児が 言な絶えそね 皆の言葉は絶えても手児の言葉は絶やすな
10月7日:  小筑波の 嶺ろに月立し 間夜は さはだなりのを また寝てむかも 小筑波に月が又出て会わぬ夜は増したが又寝よう
10月6日:  筑波嶺の 彼面此面に 守部据ゑ 母い守れども 魂ぞ会ひにける 母があちこちで守っても二人の魂は合ってしまった
10月5日:  筑波嶺に かか鳴く鷲の 音のみをか 鳴き渡りなむ 逢ふとはなしに 筑波嶺で鳴く鷲のように私は泣き続けるだろう
10月4日:  足の音 せず行かむ駒もが 葛飾の 真間の継橋 やまず通はむ 馬の足音がしなければ常に会いに行く
10月3日:  にほ鳥の 葛飾早稲を にへすとも その愛しきを 外に立てめやも 新嘗祭でも愛しい人を外に立たせられない
10月2日:  葛飾の 真間の手児名が ありしかば 真間の磯辺に 波もとどろに 葛飾の少女は名が知れて人々が波のように騒いでる
10月1日:  葛飾の 真間の手児名を まことかも 我れに寄すとふ 真間の手児名を 葛飾の少女が私に恋していると人は言う本当だろうか




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