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万葉集一日一首 (2006年1月1日〜3月31日) その日の歌を掲載しています。 凡そ、歌番号の若い方から掲載しています。 歌をクリックすると解釈文を見ることが出来ます。 |
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日付 | 作者 | 分類 | 歌 | 一口解釈 |
3月31日: | 大伴坂上大嬢 | 雑歌 | 月草の 移ろひやすく 思へかも 我が思ふ人の 言も告げ来ぬ | 恋する人が何も言って来ない |
3月30日: | 大伴坂上大嬢 | 雑歌 | 丈夫も かく恋ひけるを 手弱女の 恋ふる心に 比ひあらめやも | 私の恋に比べるものがあるだろうか |
3月29日: | 大伴家持 | 雑歌 | 池水に 影さへ見えて 咲きにほふ 馬酔木の花を 袖に扱入れな | 咲き匂う馬酔木の花を手で取ろう |
3月28日: | 市原王 | 雑歌 | 梅の花 香をかぐはしみ 遠けども 心もしのに 君をしそ思ふ | 心が萎れるほど貴方を慕う |
3月27日: | 大伴家持 | 雑歌 | うちなびく 春とも著く うぐひすは 植木の木間を 鳴き渡らなむ | 鶯よ植木の間を鳴いて飛べ |
3月26日: | 大伴家持 | 雑歌 | 水鳥の 鴨の羽の色の 青馬を 今日見る人は 限り無しといふ | 今日青馬を見れば命は無限だ |
3月25日: | 石川女郎 | 雑歌 | 大き海の 水底深く 思ひつつ 裳引き平しし 菅原の里 | 道が平らになるまで通った道だ |
3月24日: | 藤原仲麻呂 | 雑歌 | いざ子ども 狂業なせそ 天地の 堅めし国ぞ 大和島根は | 人々よ、下らないことをするな |
3月23日: | 大伴家持 | 雑歌 | あしひきの 八つ峰の椿 つらつらに 見とも飽かめや 植ゑてける君 | 貴方のことを見飽きることがない |
3月22日: | 大伴家持 | 雑歌 | 消残りの 雪に合へ照る あしひきの 山橘を つとに摘み来な | 千年もの命を願ってしまった |
3月21日: | 大伴家持 | 雑歌 | うつせみは 数なき身なり 山川の 清けき見つつ 道を尋ねな | 清らかな山川を見て道を求めよう |
3月20日: | 大伴家持 | 雑歌 | 剣太刀 いよよ磨ぐべし 古ゆ 清けく負ひて 来にしその名そ | この名は古より清かに保ってきた |
3月19日: | 大伴石川郎女 | 雑歌 | 松が枝の 土に着くまで 降る雪を 見ずてや妹が 籠り居るらむ | 大雪を見ずに貴方は籠っていられる |
3月18日: | 大伴家持 | 雑歌 | ひばり上がる 春へとさやに なりぬれば 都も見えず 霞たなびく | 雲雀が鳴き、はっきりと春になった |
3月17日: | 防人 | 雑歌 | 小竹が葉の さやく霜夜に 七重かる 衣に益せる 子ろが肌はも | 七重の衣に勝る妻の肌であった |
3月16日: | 防人 | 雑歌 | 我が背なを 筑紫は遣りて 愛しみ 結ひは解かなな あやにかも寝む | 愛しさに心乱れて寝ることだ |
3月15日: | 防人 | 雑歌 | 家の妹ろ 我を偲ふらし 真結ひに 結ひし紐の 解くらく思へば | 妻が私を偲んでいるようだ |
3月14日: | 他田部子磐 | 雑歌 | ひな曇り 碓氷の坂を 越えしだに 妹が恋しく 忘らえぬかも | 碓井峠を越えたばかりなのに妹が恋しい |
3月13日: | 神麻続部島麻呂 | 雑歌 | 国々の 防人集ひ 船乗りて 別るを見れば いともすべなし | 防人の出発を見ると悲しくなる |
3月12日: | 占部広方 | 雑歌 | 橘の 下吹く風の かぐはしき 筑波の山を 恋ひずあらめかも | 筑波の山は橘の香の風が吹く |
3月11日: | 大舎人部千文 | 雑歌 | 筑波嶺の さ百合の花の 夜床にも 愛しけ妹ぞ 昼も愛しけ | 妻は昼も夜も愛しい |
3月10日: | 大伴家持 | 雑歌 | 桜花 今盛りなり 難波の海 押し照る宮に 聞こしめすなへ | 絡んでいた君も別れて行くのだろうか |
3月9日: | 物部竜 | 雑歌 | 大君の 命かしこみ 出で来れば 吾ぬ取り着きて 言ひし子なはも | 私に取り付いて種種言ったあの子は・ |
3月8日: | 刑部直千国 | 雑歌 | 葦垣の 隈処に立ちて 吾妹子が 袖もしほほに 泣きしそ思はゆ | 妻が別れに物陰で泣いていた |
3月8日: | 丈部鳥 | 雑歌 | 道の辺の 茨の末に 這ほ豆の からまる君を 別れか行かむ | 絡んでいた君も別れて行くのだろうか |
3月7日: | 大伴家持 | 雑歌 | 百隈の 道は来にしを また更に 八十島過ぎて 別れか行かむ | 多くの曲がり道うを過ぎてきた。 |
3月6日: | 大伴家持 | 雑歌 | 海原を 遠く渡りて 年経とも 子らが結べる 紐解くなゆめ | 年月が経とうとも妻らは決して紐を解くな |
3月5日: | 物部古麻呂 | 雑歌 | 我が妻も 絵に描き取らむ 暇もが 旅行く我れは 見つつしのはむ | 妻を絵に描いて見ては偲べるものを |
3月4日: | 丈部黒当 | 雑歌 | 父母も 花にもがもや 草枕 旅は行くとも 捧ごて行かむ | 父母が花ならば捧げて旅に出よう |
3月3日: | 防人 | 雑歌 | 時々の 花は咲けども 何すれぞ 母とふ花の 咲き出来ずけむ | どうして母という花は咲き出さぬ |
3月2日: | 大伴家持 | 雑歌 | 秋風に なびく川辺の 和草の にこよかにしも 思ほゆるかも | 貴方を思うとにこやかになる |
3月1日: | 大伴家持 | 雑歌 | 木の暗の 繁き峰の上を ほととぎす 鳴きて越ゆなり 今し来らしも | ホトトギスが鳴いて峰を越えてゆく |
2月28日: | 中臣清麿 | 雑歌 | 天雲に 雁ぞ鳴くなる 高円の 萩の下葉は もみち敢えむかも | 空には雁が鳴いている、萩は紅葉するだろうか |
2月27日: | 大伴家持 | 雑歌 | 防人に 行くは誰が背と 問ふ人を 見るが羨しさ 物思ひもせず | 防人に行く人は誰かと聴いている人は羨ましい |
2月26日: | 大伴家持 | 雑歌 | うらうらに 照れる春日に 雲雀あがり 情悲しも 独しおもへば | 春の日に独り物思うと悲しくなる |
2月25日: | 大伴家持 | 雑歌 | 我が屋戸の いささ群竹 吹く風の 音のかそけき この夕かも | 竹林に吹く風の音の小さいこの夕べだ |
2月24日: | 大伴家持 | 雑歌 | 春の野に 霞たなびき うら悲し この夕影に 鴬鳴くも | 春の夕影に鶯が鳴くがうら悲しい |
2月23日: | 道租王 | 雑歌 | 新しき 年の初めに 思ふどち い群れて居れば 嬉しくもあるか | 新年に友達で会うのはの嬉しい |
2月22日: | 大伴御行 | 雑歌 | 唐国に 行き足らはして 帰り来む 太夫健男に 御酒たてまつる | 唐の国で役目を果たして来るだろう君に酒を奉る |
2月21日: | 大伴御行 | 雑歌 | 大君は 神にしませば 赤駒の はらばふ田井を 都と成しつ | 大君は神なので荒れた田を都に変えた |
2月20日: | 大伴家持 | 雑歌 | 石瀬野に 秋萩しのぎ 馬並めて 初鷹狩だに せずや別れむ | 今年初めての鷹狩もせず別れるのだろうか |
2月19日: | 大伴家持 | 雑歌 | 君が行き もし久にあらば 梅柳 誰れとともにか 我がかづらかむ | 誰と梅や柳をカズラにしようか |
2月18日: | 大伴家持 | 雑歌 | 卯の花を 腐す長雨の 水始に 寄るこつみなす 寄らむ子もがも | 娘たちが私の周りに寄って来ぬものか |
2月17日: | 大伴家持 | 雑歌 | 大夫は 名をし立つべし 後の世に 聞き継ぐ人も 語り継ぐがね | ますらおは名を立てるべきだ |
2月16日: | 大伴家持 | 雑歌 | 朝床に 聞けば遥けし 射水川 朝漕ぎしつつ 歌ふ舟人 | 朝床にいると船人の歌が遠くに聞こえて来る |
2月15日: | 大伴家持 | 雑歌 | あしひきの 八峰の雉 鳴き響む 朝明の霞 見ればかなしも | 雉が鳴いている山の朝霧を見ると悲しくなる |
2月14日: | 大伴家持 | 雑歌 | 夜ぐたちに 寝覚めて居れば 川瀬尋め 心もしのに 鳴く千鳥かも | 千鳥が心もしなるほどに鳴いている。 |
2月13日: | 大伴家持 | 雑歌 | 春まけて かく帰るとも 秋風に 黄葉の山を 越え来ざらめや | 雁は春に帰り秋には又山を越えてくるだろう |
2月12日: | 大伴家持 | 雑歌 | 物部の 八十娘子らが 汲みまがふ 寺井の上の 堅香子の花 | 娘らが水を汲むに似たカタクリの花だ |
2月11日: | 大伴家持 | 雑歌 | 春まけて もの悲しきに さ夜更けて 羽振き鳴く鴫 誰が田にか住む | 春の夜鳴く鴫は誰の田に住む |
2月10日: | 大伴家持 | 雑歌 | 春の園 紅にほふ 桃の花 下照る道に 出で立つ娘子 | 春の園の桃花の下に娘子が立っている |
2月9日: | 大伴家持 | 雑歌 | 雪の上に 照れる月夜に 梅の花 折りて贈らむ 愛しき児もがも | 雪が降り月の照る夜、梅の花を贈る娘が欲しい |
2月8日: | 大伴家持 | 雑歌 | 我が欲りし 雨は降り来ぬ かくしあらば 言挙げせずとも 稔は栄えむ | 雨が降って雨乞いなくても豊作だろう |
2月7日: | 大伴家持 | 雑歌 | この見ゆる 雲ほびこりて との曇り 雨も降らぬか 心足らひに | 心行くまで雨が降らないものか |
2月6日: | 大伴家持 | 雑歌 | なでしこが 花見るごとに 少女らが 笑まひのにほひ 思ほゆるかも | 撫子を見るたび妻の笑顔を思い出す |
2月5日: | 大伴家持 | 雑歌 | 橘は 花にも実にも 見つれども いや時じくに なほし見が欲し | 橘は花も実も十分見たけどもっと見たい |
2月4日: | 大伴家持 | 雑歌 | 白玉を 包みて遣らば あやめ草 花橘に 合へも貫くがね | 真珠にアヤメと橘を合わせてを紐を通すだろう |
2月3日: | 大伴家持 | 雑歌 | 天皇の 御代栄えむと 東なる 陸奥山に 黄金花咲く | 陸奥の国で黄金の花が咲いた |
2月2日: | 大伴家持 | 雑歌 | 油火の 光りに見ゆる 我がかづら さ百合の花の 笑まはしきかも | ユリの花鬘が油火に照らされてほほえましい |
2月1日: | 大伴家持 | 雑歌 | 我が背子が 古き垣内の 桜花 いまだ含めり 一目見に来ね | 桜の花は蕾だが一目見に来て |
1月31日: | 大伴池主 | 雑歌 | 桜花 今そ盛りと 人は言へど 我れはさぶしも 君としあらねば | 花は咲いても貴方がいないので寂しい |
1月30日: | 大伴家持 | 雑歌 | 珠洲の海に 朝開きして 漕ぎ来れば 長浜の浦に 月照りにけり | 朝船を漕ぎ出して着いたら月が照っている |
1月29日: | 高市黒人 | 雑歌 | 婦負の野の 薄押しなべ 降る雪に 宿借る今日し 悲しく思ほゆ | 雪降る野に宿を借りる今日は悲しい |
1月28日: | 大伴家持 | 雑歌 | 玉櫛笥 二上山に 鳴く鳥の 声の恋しき 時は来にけり | 二上山の鳥の鳴き声が恋しい季節になった |
1月27日: | 大伴家持 | 雑歌 | 大宮の 内にも外にも 光るまで 降れる白雪 見れど飽かぬかも | 宮廷が光り輝く程に白雪が降った |
1月26日: | 葛井諸会 | 雑歌 | 新しき 年の初めに 豊の年 しるすとならし 雪の降れるは | 年の初めに雪が降るのは豊年の印だ |
1月25日: | 山部赤人 | 雑歌 | あしひきの 山谷越えて 野づかさに 今は鳴くらむ 鶯の声 | 野の高い所で鳴いている鶯の声よ |
1月24日: | 不詳 | 雑歌 | 渋谿乃 二上山尓 鷲曾子産跡云 指羽尓毛 君之御為尓 鷲曾子生跡云 | 鷲も君に為になろうとして子を生む |
1月23日: | 不詳 | 雑歌 | 我が門に 千鳥しば鳴く 起きよ起きよ 我が一夜夫 人に知らゆな | 一夜夫に千鳥が起きろと鳴いている |
1月22日: | 山上憶良 | 雑歌 | 大船に 小船引き添へ 潜くとも 志賀の荒雄に 潜き逢はめやも | 船団を出し、海中を探しても荒雄に逢えない |
1月21日: | 山上憶良 | 雑歌 | 沖行くや 赤ら小船に つと遣らば けだし人見て 開き見むかも | 行く船に包みを言付けたら開けて見るだろうか |
1月20日: | 山上憶良 | 雑歌 | 沖つ鳥 鴨とふ舟は 也良の崎 廻みて漕ぎ来と 聞こえ来ぬかも | 船が也良の崎を廻って来ると伝えて来ぬか |
1月19日: | 山上憶良 | 雑歌 | 沖つ鳥 鴨とふ船の 帰り来ば 也良の防人 早く告げこそ | 船が戻ったら早く知らせて欲しい |
1月18日: | 山上憶良 | 雑歌 | 荒雄らは 妻子の産業をば 思はずろ 年の八歳を 待てど来まさず | 荒雄は妻子の生活を忘れたようだ |
1月17日: | 山上憶良 | 雑歌 | 荒雄らが 行きにし日より 志賀の海人の 大浦田沼は さぶしくもあるか | 荒雄が居なくなった大浦田沼は寂しい |
1月16日: | 山上憶良 | 雑歌 | 志賀の山 いたくな刈りそ 荒雄らが よすかの山と 見つつ偲はむ | 志賀の山を見て荒雄を偲ぼう |
1月15日: | 山上憶良 | 雑歌 | 荒雄らを 来むか来じかと 飯盛りて 門に出で立ち 待てど来まさず | 飯を盛って待っているが帰ってこない |
1月14日: | 山上憶良 | 雑歌 | 大君の 遣はさなくに 精進に 行きし荒雄ら 沖に袖振る | 荒雄らが自ら船に乗り手を振っている |
1月13日: | 大伴家持 | 雑歌 | 痩す痩すも 生けらばあらむを はたやはた 鰻を捕ると 川に流るな | 痩せても川に流されるな |
1月12日: | 不明 | 旋頭歌 | 鯨魚取り 海や死にする 山や死にする 死ぬれこそ 海は潮干て 山は枯れすれ | 海や山も死ぬから潮が干し、木が枯れる |
1月11日: | 不明 | 雑歌 | 世の中の 繁き仮盧に 住み住みて 至らむ国の たづき知らずも | この世では来世の様子が分からない |
1月10日: | 不明 | 雑歌 | 生死の 二つの海を 厭はしみ 潮干の山を しのひつるかも | 生き死にの無い極楽浄土に行きたい |
1月9日: | 法師某 | 雑歌 | 壇越や 然もな言ひそ 里長が 課役徴らば 汝も泣かむ | 税の徴収が強くなったら汝は泣くだろう |
1月8日: | 不詳 | 雑歌 | 法師らが 鬚の剃り杭 馬繋ぎ いたくな引きそ 僧は泣かむ | 僧の鬚に馬を繋ぐな僧が泣く |
1月7日: | 大神朝臣 | 雑歌 | 仏造る 真朱足らずは 水たまる 池田の朝臣が 鼻の上を掘れ | 真朱が不足なら池田朝臣の鼻を掘れ |
1月6日: | 長意吉麻呂 | 雑歌 | 池神の 力士舞かも 白鷺の 桙啄ひ持ちて 飛び渡るらむ | 白鷺が木を銜えて飛ぶ姿はこっけいだ |
1月5日: | 不詳 | 雑歌 | 橘の 寺の長屋に わが卒宿し 童女放髪は 髪あげつらむか | 私が以前寝た童女は年頃になっただろうな |
1月4日: | 小鯛王 | 雑歌 | 夕づく日 さすや川辺に 構る屋の 形を宜しみ 諾よそりけり | 小屋の形が良いので皆が好むのは当然だ |
1月3日: | 河村王 | 雑歌 | 朝霞 鹿火屋が下の 鳴く蛙 偲ひつつありと 告げむ子もがも | 私に恋する人がいると教える人はいないものか |
1月2日: | 穂積親王 | 雑歌 | 家にある 櫃に鍵刺し 蔵めてし 恋の奴の つかみかかりて | 閉じ込めた恋の奴が襲ってくる |
1月1日: | 不詳 | 雑歌 | 商返し 領らすとの御法 あらばこそ 我が下衣 返し賜はめ | 商品が帰せるなら、私の贈った下着も帰せ |